偉人のエピソード逸話集

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太田垣士郎(関西電力初代社長)

太田垣士郎(おおたがき・しろう)略歴
1894年~1964年(明治27年~昭和39年)関西電力初代社長。兵庫県城崎町(現・豊岡市)生まれ。京都帝大経済学部卒。日本信託を経て阪神急行電鉄(現・阪急電鉄)に入社。小林一三の片腕として活躍し、昭和21年に社長。昭和26年九電力体制発足とともに関西電力初代社長に就任。昭和34年会長。関西経営者協会会長、関西経済連合会会長等を歴任。

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太田垣士郎の知られざる秘話

平成22年11月29日
題名:「決意が人の心を動かす」


従業員の士気を上げるには何をすれば良いか?給与を上げるのが手っとり早いが先行きの見えない不景気の今、そんなゆとりのある企業はないであろう。ではどうすればいいか。それはトップが腹を括ることである。何時の時代もトップの決意が人の心を動かす。
 
1962年(昭和37年)、キューバに旧ソビエトのミサイル基地の建設が進められている事実をアメリカが知った時、ときの大統領ケネディはどうしたか。ミサイル基地はすでに90%まで出来上がっていた。一刻も猶予のならない緊張状態である。ケネディは敢然と立ちあがった。そしてソ連のフルシチョフ首相に対して、キッパリと言い放った。

「アメリカとの目と鼻の先のところに、ソ連のミサイル基地がつくられていることを黙認出来ない。アメリカとして許容出来ない。だから、その基地をソ連の手で撤去してほしい。もし、ソ連の手で撤去しないのであれば、アメリカの手で撤去する」この敢然たる通告に対して、ソ連のフルシチョフはどう対応したか。結論として、そのミサイル基地をソ連自身の手で撤去したのである。一兵を損せずして、アメリカは自分の主義を通した。ケネディの断固たる決意がソ連を動かし、アメリカの望むとおりの決定をさせたのである。

トップの決意が国を動かした一例だが、当然普段の企業活動においてもトップの決意が大きく影響する。

関西電力初代社長に就任した太田垣士郎(おおたがきしろう)は大型水力発電所の建設に踏み切った。当時、関西方面は深刻な電力不足に見舞われ、たびたび停電が発生する惨憺たる状況だったからだ。これが有名な黒部川第4発電所(いわゆるクロヨン)である。

1956年(昭和31年)、太田垣の決断で関西電力が黒部川第4発電所(クロヨン)の建設を着手した時、日本アルプスの山脈をぶち抜いて建設資材の運搬道路(現・関電大町ルート)をつくり、そのうえで黒部川の上流に世界最大級のアーチ式ダムを建設するという超ビックプロジェクトは世界で反響を呼び、やがて無謀そのものという非難の集中砲火を浴びることになった。着工して8ヶ月後、心配していた破砕帯(はすいたい)に遭遇。大量の冷水が吹き出して工事は中断を余儀なくされた。内部は滝か川かとみまがうばかり。地下水の噴出を止める手当てはことごとく失敗する。「クロヨン絶望か」「関電、経営危機」などと報道された。計画中止もやむ無しの状況であった。しかし太田垣は腹を括り計画続行を決断するのだがこの後の太田垣の行動が現場で働いている作業員の士気を上げた。現場はトンネル崩壊の危機に浮足だっていたが、なんと社長自らが現地入りし、制止を振り切り危険な破砕帯にずぶ濡れになりながら足を踏み入れていった。「でかい仕事に困難は当たりまえじゃないか。私は絶対に諦めない。クロヨンはあなたがたにかかっている。一緒に苦労して、一緒に喜びあおう」太田垣は作業員の肩をたたき励まして廻った。2時間もトンネルから出てこなかった。忙しい中5日間も現場にとどまったという。この社長の捨て身の行動に作業員の士気は一気に高まった。

クロヨンは1963年(昭和38年)に完成へとこぎつけた。総工費513億円と延べ一万人の労力を注ぎ込み、さらに167人もの犠牲者を出すという、8年間に及んだ難工事の末での完成であった。
 

文責 田宮 卓

参考文献
日本経済新聞社 「20世紀 日本の経済人」 日経ビジネス文庫
青野豊作 「名言物語 人生の極意、経営の勘どころ」講談社
ビジネス哲学研究会【編著】 「心を強くする指導者の言葉 逆境に克!」PHP
松下幸之助 「人を活かす経営」PHP文庫
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  1. 2010/11/29(月) 08:01:29|
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